2017年夏 南信州 沢登り

2017年の夏は、梅雨が長引き一瞬暑くなったと思ったら台風が吹き荒れて、いつの間にかもう秋の様相。東京では記録的な連日降雨で、各地で降雨による河川氾濫・土砂災害が起こっている模様。
ここ長野でも真夏を感じるほどの猛暑は、ほんの数日(もっとだろうけれど)あったかなという印象で、冷夏の年の冬は小雪とよく言われるだけあって、今から来シーズンのスキー場経営が心配になっていたりします。

まぁ先のことは後々考えるとして、お盆の期間を利用して友人に誘われるまま、南信地方のとある沢に釣りに行ってきました。

つりの種類は今時のフライフィッシング。連れて行っていただいた方たちは2人ともフライ歴30年以上の大ベテラン。それに比べ、去年勧められるがままにはじめたばかりの私は、彼らから見れば赤子同然。とにかく迷惑をかけないようにと気遣いだけが先走ります。

前日からの雨で土砂災害警戒情報が近隣地区で多数発令される中、たまたま出発の時刻に晴れ間が見えたということで、「いきましょう」の一言。
旧林道を小一時間歩き、林道から外れて尾根を2時間ほど下って河原に出ます。
川は連日の雨で水位が増し、「条件は悪いほう」らしいのですが、素人の私はそんなことは知ったこっちゃない。金魚の糞のように二人の後をついて回ります。
今年初めての釣りで、用具がとにかく手につかず、モタモタしているうちにテント場に到着。荷物を降ろして周辺を、今度は空荷で釣り歩きます。ここまで魚影は薄く、私は当然のマル坊主。ベテラン二人も小ぶりなのを数匹のみ。
時折細かい雨がパラつきますが、何度も渡渉を繰り返し、自ら濡れにいっているようなものなので大して気になりません。ひとつの支流を詰めますが、水量が多くゴルジュ帯に差し掛かったので、これ以上は無理だろうということで終了。テン場に戻りまだ明るいのに酒盛り開始です。

瓶の赤ワインを一本持参です。道中ベテラン二人の釣った魚をホイル蒸しと塩焼きにしていただきます。疲れのせいか早々と酔いが回って、まだ明るいうちに一人ダウン。日が暮れてまた三人に戻ったものの、8時前には三人とも寝袋に収まっていました。流星群がちょうど到来していたのですが、あいにくの曇り空で星は見えず、朝まで雨が降らなければいいなと願いながら深い眠りにつきました。

次の日は朝から小雨のスタート。濡れたテント・寝袋を片付け、軽く朝食をとって出発です。
私にとっては、手取り足取り一から十までお膳立ててもらって釣れても全然嬉しくないですし、釣れないということも経験になりますので、放置しておいてもらったほうが気が楽なのですが、それでも坊主を放ってはおけないうようで、ベテラン二人がしきりとポイントのアドバイスをしてくれます。
ベテラン二人を差し置いて上流側にフライを投げるのも恐縮してしまうくらいなのですが、たとえ一匹でも釣り上げないと、このプレッシャーからは逃れられないと腹をくくって、ぐんぐん上流に。やっとの思いで、小ぶりのかわいいやつをゲット。後は気楽に河原歩きです。

途中昼食休憩を挟みつつ、本流を上り詰めて林道に戻れるはずが、標高で後100m少しのところで連ばく帯に。それぞれ落差20mもあろうかという立派な滝が幾重にも連なって、両脇もかなりの急傾斜、岩壁で囲まれている雰囲気です。沢づたいは諦め斜面の弱点をついて林道まで上がることにします。ガレの積もった40度ほどの斜面をロープもつけずソロリソロリと歩くこと小一時間、ようやく旧林道にたどり着きます。

ふと気づくと下半身のほぼ全域が筋肉痛。林道はほぼ平坦なのですが、前に歩くだけで筋肉が悲鳴をあげます。ほんの少しの微妙な傾斜が上りでも下りでも耐えられません。危険な状況が少々続いたので、気づかぬうちに疲労がたまり、緊張も加わって筋肉繊維を傷めてしまったのでしょう。河原でもないのにベテラン二人にかなり差をつけられて必死に追いかけます。2~3時間歩きようやく駐車場に。自然と笑みがこぼれます。

とはいえ2日目はほぼ雨が降りとおしで、どんどん激しくなる始末。車に着いたころにはバチャバチャいってました。身体はずぶ濡れでこのままでは車にも乗れませんし、風邪を引いてしまいます。雨の降りしきる中、峠の駐車場で、他の観光客の目を気にすることなく、40過ぎのおっさん三人(一人は実は30代)がケツ丸出しのスッポンポン。旅の恥はかき捨てです。

風呂に入り夕飯を食い、帰路、睡魔との闘いが心配されましたが、不思議と興奮状態が持続していて、取り越し苦労となりました。ただし、帰宅後、少量の酒でダウン。心地よいとはとても言えない身体の痛みから解放されました。

BCTRL の活動とは直接関連はありませんが、同行させていただいたベテランさん二人は、共にフリークライミングの猛者でもあります。行程の随所に高度な登坂技術を見ることができました。あくまでも釣りがメインの旅ですが、山登り・岩登り・沢登りの要素がとても強く、なかなか骨太の冒険だったと思います。
年齢はそれほど離れてはいなかったとはいえ、体力的な差があったようで、道中の移動スピードにそれが顕著に現れていたと思いますが、後々話を聞けば、一人ひとり必死に歩いていたようで、疲労感にはそれほど差がないようでした(むしろ私が一番元気だったようです)。また、二人が口をそろえて、一人じゃ行けなかったと言っていたのも印象的で、結果的に互いに助け合う場面はありませんでしたが、精神的には支えあっていたのだろうと思います。

年齢・体力・経験の違う方と行動することはよくありますが、お互いがその立場になって感じることは難しい場合が多いと思います。特に同じメンバーばかりで行動していると、そのグループの中での立ち位置が変わらないので、常にリーダーだったり、先頭ばかり歩いたり、いつも遅れ気味だったり、最年長だったり、いつまでたっても初心者だったり。そういうことを少し俯瞰で感じることができたのも、大きな収穫でした。

今回の冒険を今年一番の思い出にしないよう、精力的に行動していきたいと感じました。

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