秋の妙高山

10月1日(日)、予てからの念願だった妙高山に登ってきました。

5時に起きて6時半には登り始めるという計画が、ふたを開ければ家を出たのは6時頃。結果的に1時間以上遅れて登山開始となってしまいました。その原因は寝ぼけて路を間違えたことと、途中コンビニに寄り損ねて遠回りしたことと、その他諸々。燕温泉の日帰り用駐車場は既に満車で路上駐車の車もあるほど。奇跡的に軽自動車一台分ほどの隙間を見つけて、ちょっと狭いけどごめんなさいと言いながら駐車。恐らくこの日の最後の登山者だったんでしょう。準備を始めます。
プラティパスをセットして担ごうとした瞬間、水が勢いよく漏れてしまいます。見ると経口部の部品がひとつ無く使えない状態。仕方がないのでペットボトルに水を満たしてパッキング。日帰りの予定ですが、テント・シュラフ・マット等が入った連泊仕様で、ずっしり重く肩に食い込みます。荷物をあえて重くしてトレーニング。
今回のもうひとつの目的はSONYのアクティブカムで写真を自動撮影しながらの登山テスト。アタッチメントが専用のものではなく、肩乗りカメラの様相。徒歩にあわせてカメラが揺れるのでピントが常にズレる恐れがあり、登りは前かがみになれば地面しか写らず、カメラの方向も常時微調整が必要ですが、バックパックの肩掛けに固定しているのでいちいちパックを降ろすのは困難。写真の品質は最初から期待しません。ただバッテリーがどの位もつのかが気になるところです。

7:40に燕温泉(1,100m)を出発。燕新道から反時計回りに登るコースを選びます。一合目二合目までの標識はありますが、その後の合目標識はありませんでした。後から知りましたが、麻平分岐から天狗堂に抜ける道中に合目標識が続いているようでした。途中惣滝への山道が崖崩れのため通行禁止とあり残念でした。

大倉谷(1,410m)までは迷わず順調に来ましたが、徒渉で一瞬路に迷います。川の形がいろいろ変わるので仕方ないのですが、一旦徒渉してすぐにまた徒渉し返してしばらく右岸を登り、再び左岸に徒渉します。ここまでで約1時間。一旦休憩です。

ここからしばらく比較的斜度のきつい斜面が続き地味に体力を奪い取ります。出発が遅くなったのを取り戻そうという潜在意識があったのかペースが若干速かったのでしょう、ここでの頑張りが後々響きます。途中、林の切れ目で視界が広がり妙高山を普段見ない距離と角度で望むことができます。
神奈山や黒沢ヒュッテへの大倉分岐(1,760m)に到着、普段はほとんど立ったまま休憩を取っていますが、今回は勝手が違うのか、ベンチに思わず座り込みます。しかし、長居はせずすぐに出発。ここまでで約2時間。

若干傾斜は緩くなったもののしばらく登りっぱなしで疲労が溜まります。湿地帯に入ったり岩が露出したり、樹林は背が低くなって笹が生えていたり。ぬかるんだ土壌には木道が敷かれていたりします。
突然、木々が草原に変わり視界がパッと開けます。芝沢です。しかし草原は一瞬で終わり、再びだらだら山道を登ります。

しばらくすると再び突然草原が広がります。草原には池もあり、ベンチからの眺めが良い感じ。長助池(1,890m)です。多くの方がここで休憩を取っていました。恐らく、前日からの下山者とは数人すれ違いましたが、先行の登山者にここで始めて追いついた形です。休憩はほとんど取らず先に歩みを進めます。が、身体に急に異変が、今まで経験したことのない大腿筋の痙攣に襲われます。立ち止まりストレッチ。この後登りの核心が待っているだけに、ひょっとしたらここで引き返すべきポイントなのかもという不安が広がります。ここまで約3時間。

行けるところまで行こうと決心し、更にだらだら登ります。すぐに大倉乗越や笹ヶ峰への長助池分岐に到着。大倉乗越へは折り返して斜面をトラバースする形なので、林の向こうの隣の道から他の登山者の話し声が聞こえて変な感じ。
分岐を過ぎると徐々に傾斜が増し、いよいよ妙高山の本峰に取り掛かるという実感が沸きます。岩場が続く急斜面ではあるものの、思ったほど急過ぎないので少し安心です。がしかし、脚のダメージは広がる一方。ふくらはぎ・大殿筋にも痙攣がおきて、何度も立ち止まりストレッチ。この時間にもなると下りの登山者が多く、狭い道でのすれ違い時の譲り合では先に行くことが全くできない状態に。一気に移動速度が落ち、先ほど長助池で追いつき追い越した他の登山者に、再び追い抜かれます。
一向に速度が上がらないまま見る見る時計の針は進み、気付けば正午を過ぎています。予定ではちょうど正午に山頂で昼食だったのですが、あまりに疲労が激しく、気力もなくなってきました。一度しっかり休憩を取ってリフレッシュ。昼食用の握り飯を食べエネルギー補給も兼ねます。ちょっと負けた気分。

標高にして後100mほど登れば山頂です。ゆっくりですが確実に一歩ずつ歩を進めます。なぜさっきこれだけの距離が登れなかったのかと感じるほど呆気無く山頂に到着。休憩の大切さを再確認。妙高山北峰(2,445.8m)です。しかし、妙高山の最高点は南峰(2,454m)。そこで休憩している10名弱の登山者を尻目に、数分間大きな岩と笹の間を南に歩き南峰に到着。南峰には妙高大神が祭られています。時計の針は12:30を差していました。
周りには20名以上の登山者が休憩していました。重装備の方から、至って軽装備の方まで様々。中には手ブラらしき方もいました。

頂上目前で不本意にも昼食を摂ってしまったので、改めて昼休憩です。腰を下ろしてスープ用にお湯を沸かそうと準備。ヤカンに水も入れて火を付けようとした瞬間、故障でしょうか着火装置が働きません。準備不足でライターも携帯していません。周りに人は沢山いたんですが、恥ずかしすぎて火を借りることはできませんでした。仕方なく温かい飲み物は諦めて飴と水、悲しくなります。暫しゆっくりし服装と荷物をを整え13:00に山頂を出発します。

充分休憩をとったせいか、登りと違い下りは快調に足が動き、何人も先行者に追い付いてしまいます。
すぐに鎖場(九合目)に差し掛かります。鎖は掛かっていますが、岩が人工的に階段状に削られていて、簡単に降りることができます。よく言えば安全、悪く言えば興醒めです。でもこれだけ登山者がいるのだから仕方ないのかなとも感じました。

外輪山の赤倉山・前山が正面に見えます。斜度のきつい下り道は土が掘れて若干滑りやすく注意が必要。徐々に傾斜もゆるくなってきますが、脇の木々も徐々に背が高くなり、気付けばあまり周りの見通しが利きません。風穴(八合目)を過ぎ、しばらく行くと光善寺池(七合目)です。小休憩しすぐに出発します。

大田にヒュッテへの分岐点の天狗堂(六合目)は広場になっていて、何人か休憩を取っていますが、素通り。少し傾斜が急になりますが気にせず、五合目を過ぎ胸突き八丁(1,800m)に差し掛かります。
関川の支流、大田切川の源流が突然現れます。鉄分でしょうか、錆びたような赤い岩盤に白濁した小川が流れています。この日は比較的水量が少なかったようで、色のコントラストがすばらしい。しばらく川沿いを歩き湯道分岐(四合目)を過ぎます。

いつの間にか路は川沿いを離れ斜度がいい具合に急です。再び川沿いを路が併走しています。ふと振り向くとそこに称名滝がありました。垂直近くに切り立った赤茶けた岩肌に温泉の成分で白く濁った滝が真下に向かって数十メートル、それはもう絶景という言葉がお似合いです。季節は秋ですが紅葉までにはまだ1~2週間早く残念でしたが、天候は抜群に良かったので、木々の緑との色の競演でした。

滝下まで登り、暫し滝を目の前に休憩。疲れが一気に飛ぶのを感じ出発です。川沿いに下るとすぐにまた小川がなくなります。よく見るとそこは滝の落ち込み口、光明滝の最上部でした。光明滝から下流ははるか下方に小川が流れ、切り立った岩場の中腹を路が水平に走っています。高度感で緊張しながら振り向くと称名滝と光明滝が二段滝、ひとつになって目に飛び込んできます。紅葉の時期にこの景色だけ見に来ても価値がありますね。

路は人工的にしっかり整備されていますから安全に歩くことができますが、良くこんなところに道を通したなと感心します。右側が常に高度感のあるなだらかな下り坂を、赤倉温泉の源泉を過ぎ更にだらだら歩きます。コンクリートで固められた路は歩きやすいようで実は疲れが溜まります。
燕温泉の上部に到着し道幅が一気に広がります(車で来られる!)。大きく路が曲がったその先に恐らく惣滝でしょうか、大きな滝の上部が遠くに見えます。再び路は大きく曲がり、黄金の湯で何人か疲れを癒しているのが遠目に見えます。温泉街を歩きここまでくれば登山は終了、自然と笑顔がこぼれます。
車は朝の半分ほどに減っています。タオルを持ってきていなかったので残念ながら温泉には入らず、軽くストレッチをして車に乗り込み帰宅の徒につきます。時刻は15:45。登りの約半分の時間で下山した計算です。

帰り道で見た妙高山は、夕日を背にほんの数時間前に歩いていた実感が沸かないほど神々しく聳えていました。

後記

時期も天候も良く、とてもいい山行でしたが、反省点が多くありました。

  • 出だしの遅れと単独行がペースの乱れを生んだ。結果疲労を過度に貯めてしまった。
  • 装備の不備が多々あった。プラティパスの部品・バ-ナ-の着火装置の不具合・ライターの不携行。
  • 温泉・食事等前準備下調べを怠ったため、全体的に楽しむという余裕が無かった。

次回の反省点としたいと思います。

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