【報告】いいづなリゾートスキー場 町民説明会

前回の投稿からまたしばらく経ってしまったのですが、決してサボっていたわけではなく、しかしこの去る9月13日(水)に行われた『町民説明会』をどう報告していいのかわからず、結果こんな時期になってしまいました。実は今も方針が定まらないまま書き始めています。

会の内容は今まで関心を持って積極的に情報を受け取っていた町民の方にとっては、目新しい情報の提供はほとんど無く、議会でなされていた議論のほうが余程深く身のあるものだったと思います。また、説明会と銘打った会だったので質疑応答があるとは思わず、準備もせず参加してしまって有意義な質問をすることもできなかったので、その点は本当に残念でした。

大まかに内容を報告すると、以下のようになります。

  • 町は直接的にも間接的にもスキー場の経営から手を引くと決定した。
  • 民間企業への売却を目指すが、期限を区切って交渉する。
  • 来シーズン(2017/18)と再来シーズン(2018/19)の営業は保障するが、2019年4月の時点(例年指定管理者契約の更新月)で売却先が決まらない場合は2019/20年シーズンの営業はしない。
  • 仮に売却先が見つからず閉鎖となれば、国から借り受けている土地について返却の手続きを始める。それには費用がかかる。
  • その場合、町は飯綱東高原の発展にスキー場に変わる様々な方策を講じていく。

町長選挙と議会選挙を来月に控え、そのための会なのかなと感じるところもありました。この決定の審判が選挙という形で現れるのはとてもいいことだと思います。また、先送りはしないという町長の決意は、やはり直に会ってお聞きするとその本気度が伝わり、それだけでも収穫があったのかなと思いました。

ということで報告は以上として、会に参加して感じたこと・思ったことをとりとめも無く書いていきます。
経緯は前投稿のにある通りなので省略するとして、こういう事態になったそもそもの要素を整理しておきたいと思います。それぞれが複雑に絡み合っていそうでまとめるのは難しそうですが。

公主導の放漫経営
これはもう確実なんだと思います。合同会社に経営が移ってから五期連続で黒字であったことが、それを物語っています。『経営体制が違うので(その前後での)単純比較はできない』と町の担当者の方が会で説明されていましたが、スキー場が抱えている地理的・気候的な特色・性質は今も昔も変わっていないわけで、主体的に経営に関わっていた段階で健全な経営に向けての自浄作用が働かず、逆に怪しい業者等の恰好の餌食にもなってしまっていたというようなことが本当にあったとすれば、それは放漫経営としか言いようがありません。『町と銀行で別々の決算書を持っていてその差額に愕然とした』というような趣旨を経緯の説明で町長自ら仰っていましたが、それは粉飾決算=犯罪です。
町のビジョンが不明瞭
三水村と牟礼村の合併以降、主に地域間によるスキー場に対する立場の差が明確にあって、スキー場は町にとって『宝・資産』なのか『お荷物・負の資産』なのかで意見が真二つに割れている状況です。
ひとつ確実に言えることは、皆さんこころから町を愛しているということです。税金の使い道の正否ばかりが表立って語られますが、物事の本質はたぶんそこには無くて、ベクトルがそれぞれ別々の、ときに正反対の方向を向いてしまうことでいがみ合いが生まれてしまっている気がします。
現峯村町長はスキー場存続の意思を強くもっていらっしゃったとお聞きしていましたが、様々な町民の意見を聞くにつれ物事はそう簡単ではないという実感を持ったとも仰っていました。
町民一人ひとりがそれぞれの考え方を持つのは至極当然のことですが、唯一政治家だけがビジョンを語ることができます。町民の意見を聞くことは重要です。が、町の行く末のビジョンを語って回ることこそが政治家のもっとも大事な仕事だと思うのです。飯綱町にとってスキー場はどういう存在で、将来の町のあるべき姿にどのように必要不可欠であるか。その上で費用の話をしないと平行線のまま進みません。
顧客のニーズ
スキー人口が年々減ってきているだとか、高齢者層の比率が増えて若者が表に出なくなったとか、スキー場を経営する側から聞くといろいろネガティブなことを耳にすることが多いと思います。統計的にも現場の実感的にもそういった傾向が見て取れる場合も実際あるのでしょう。つまりスキーは斜陽のスポーツだと。
しかしながらそれとは逆の、例えば『レジャー白書』の10代の余暇活動の潜在需要ではスポーツの中では常に上位、リフト待ち数十分というスキー場は未だに存在する、コースにスキーヤー・ボーダーがいなくてもコース外には若者を中心に多くのサイドカントリースキーヤー・ボーダーがいる、記録的な小雪だった2015/16年シーズンでも黒字だったスキー場がある(しかもそれは隣の黒姫スキー場)、海外からの観光客が増え国内観光・レジャー業が好調といったような統計や実体験があるのも事実です。
私はスキーやスノーボードを斜陽のスポーツとは思っていません。むしろ80年代のバブル期と変わらず今現在もなお不動の大人気スポーツです。ただ、時代と共に雪上スポーツの質が変わりました。お客さんは経験により奥行きを知り多様化したんです。旧態然のスキー場が提供するサービスでは満足しなくなったのです。文化の成熟の過程ではごく普通の現象でしょう。
顧客のニーズに応えられない企業は斜陽になります。顧客のニーズは何なのか、常に試行錯誤を繰り返し、また自ら顧客のニーズを生み出す。大体どこの企業もやっていることです。それをせずにスキーのせいだとか気候のせいだとか、お門違いです。
当事者意識
会には約30名ほどの町民の方々が参加されていました。あそこにいた方たちは自分のこととしてスキー場問題を捉えていたと思います。そして、様々な理由であの場に来られなかった方の中にも同様に真剣に考えている方が多くいると思います。
また、今までスキー場に関わった方は町内に留まらず、町外にも大勢います。それに加えて町内外の多くの企業も関わってきていると思います。
『どこのスキー場も大して変わらない』、『いいづなリゾートスキー場が閉鎖になっても近場のスキー場は他に沢山ある』等の意見がある中、逆にいいづなリゾートスキー場の雪質やコースレイアウトが自分のスタイルに一番合っているという方方々もいます。そういう方々は言わばファンで、どのスキー場にも一定数存在すると思うのですが、そんな人たちを言葉は悪いですが、利用しない手は無いと思うのです。
この存続の可否判断が差し迫った機に及んでは、スキー場の経営をブラックボックスに入れておくメリットは全くありません。ボランティアでも何でもいいから、スキー場を正常に運営するための様々な手続きを、まさに当事者意識を持っている方たちに主体的にやってもらう時期だと思います。

結論

これは私個人が感じたことですので、賛成反論やまた違った角度からの見方も多々あるでしょうが、自分のおかれている立場はスキー場の経営に主体的に関われる立場にいないので、とにかく自分のできることを前倒しでどんどんやっていくしかないなと考えています。相手の気持ちなくして協力は成り立ちませんし、閉鎖になったほうがいいと考えている方が経営側にいらっしゃるともとられかねない緩慢な営業体制に、正直イライラする事もあります。でも、文句ばかり言っていても前に進みません。できる者ができる時にできる事をやる。そこについて来る者がそのうち現れる。それだけです。

“【報告】いいづなリゾートスキー場 町民説明会” への5件の返信

  1. 始めまして。ウインターギア製作のポールボードのネクサムと申します。飯綱リゾートスキー場の件につきまして、このブログを拝見しましたので、コメントさせていただきました。9月13日の飯綱リゾートスキー場の存続問題に参加させていただき、皆さんの意見を聞かせて頂くなかで、弊社がこのスキー場を存続すべく、継続方向を検討し、現在飯綱町で審議中てす。とわいえ、町の態度がはっきりしないまま、なんの進展もなく2017年度が終わろうとしております。弊社の継続条件に対しても全く返答もない町の姿勢にいささか将来の不安を感じてしまいます。水面下で進行している話とはいえ、ある程度飯綱リゾートを復活させるためにも賛同する皆さんの協力が必要かとおもいます。来年2018年度は更なる大勢のかたの意見を集め是非飯綱リゾートの救世主になれるように頑張りたいと思います。

    1. 岩田様
      はじめまして、コメントありがとうございます。
      文中にも書いたのですが、私たちは主体的にいいづなリゾートの経営には関われないのでもどかしいですね。例え出資する立場になったとしても意見は言えても舵取りはできません。そこは今の経営者である合同会社と所有者の町に任せるしかないのでしょう。
      私たちのできることは、『雪遊びの現場を楽しくすること』。これに尽きると思います。スキー場には便利さと安全を提供してもらって、後はこちらでやるという気概を持って。岩田さんお立場は私には良くわかりませんが、とにかくがんばってください!応援してます。

  2. ご無沙汰しております。「ポールボード」ネクサム社の岩田と申します。あっという間にウィンターシーズンが終わり、ちょっぴり寂しい思いをするなか、飯綱リゾートの活性化に向け奔走する日々が続いております。今シーズンは飯綱リゾートスキー場をあらゆる角度から研究すべく現場の方々にもご協力いただきましたこと心から感謝しております。また飯綱町の関係者の皆様との接点をもつことにより私たちの飯綱リゾート復活への熱意と情熱、努力がご理解いただけることを心から願うものです。私自身は生まれ育ちが大阪で、長野にほれ込んで移住してきました。北信にかかわって25年になりますが今までの失敗と経験を生かして飯綱再生への道を切り開きたいと考えるものです。いよいよ現在の飯綱リゾート運営の合同会社の指定管理も3月末で終わるなか、我々のアプローチがどこまで飯綱町に理解していただけたかということが気がかりなことですが、ここに足跡を残すことで真剣に頑張って飯綱リゾート復活に奔走した事実が残ればと思い記録した次第です。今までの歴史と経緯をふりかえるなかで奇跡の復活を成し遂げたいものです。そして飯綱町に住んでよかったと思えるような未来にしていきたくおもうのです。未来に引き継ぐ子供たちの為にもそんな情熱は伝えていくべきなのではないでしょうか。

    1. 岩田さま
      度々コメントいただきましてありがとうございます。
      シーズン中ゲレンデでポールボードを何回か見かけました、楽しそうですね。
      先日信濃毎日新聞に来季の指定管理業者が決まらなかったことが報道されて、2018/19シーズンの営業が現段階では不透明な状況で、今後どう事態が進むのか注意深く見守っているとこです。
      昨日町議会で補正予算が可決されたので、傍聴もできなかったので詳細は議会だより等が配布されるまでわかりませんが、その内容次第でスキー場再生へ向けた町の本気度が少し計れるのかなとも思っています。
      とにかくネガティブな情報ばかりに目が行きがちなので、それだけでお客さんが逃げてしまわないか不安になります。ネガティブな情報を隠しても逆効果になるでしょうし、なんとか楽しい情報を発信し続けて盛り上がる方向にしたいですね。
      町の言葉を借りれば、まだ(閉鎖することが)決まってはいないので、継続的な営業に向けて各人が最大限努力して行きたいですね。

  3. いつもご丁寧な返答ありがとうございます。今シーズンはいいづなリゾートスキー場から特別に許可を頂き撮影を兼ねての滑走をさせていただきました。ネクサム社はこのウィンターアイテムの自社開発製造をおこなっており、ポールボードをライディングできるライダーはまだ数えるほどしか日本にはおりません。(世界中で日本にしか存在しないギアです)今回いいづなリゾートでご覧いただいたのは、本当に嬉しい限りです。わずか数日でしたが、多くの方にお声がけいただき感謝しております。さて、ネクサム社としましは、このポールボードを一つの戦略の柱としながら、子供さんからシニアまで、大勢の方に楽しんでいただけるようなスキー場構築を目指しております。いよいよ四月を迎え飯綱町としても「スキー場存続」の方向を決定しなければならないタイムリミットも切迫しております。この先、飯綱町とスキー場の運命を成功への足掛かりとするために、そして飯綱町が世界の情報発信としてのサクセスストーリーが作れるような夢を現実にしていきたいと思います。

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