バックカントリーについて

本来、”back counrty” という言葉の意味は辞書には『僻地(ヘキチ)・片田舎』とあり、国によっても捉え方が様々で、日本での『バックカントリー』という言葉の使われ方とのギャップがありそうです。
冬季のアウトドアアクティビティ(野外活動?/outdoor activity)の中で公共の交通機関では行けないエリアでスキーやスノーボードをすることを “backcountry skiing” や “backcountry snowboarding” と言い、日本ではそれをまとめて『バックカントリー』と読んでいるように思いますのでこのサイトでも同様に扱っています。果たしてそれが定着しているかというとちょっと疑問が残りますが、難しいことは考えないようにします。

さて、皆さんご存知のように、ここ北信地方(長野県北部)は冬季に比較的多めに雪が降ります。
特に豪雪地帯に住んでいる方にとって日々の生活の中での雪は、どこもかしこも毎日自然と溜まってくる粗大ゴミのようなものです。冬の間、その雪と付き合ってくのは体力的にも時間的にも多くを奪われる、とても骨の折れる大仕事です。
でも人間は、その粗大ゴミのような雪を遊び道具に変えてしまった。賢いですね。

日本に限らずスキーはお金持ちの遊びで、スキー場は冬期リゾート地の目玉施設、リフト券は高価なのが当たり前です。そんな、一見バブリーで拝金主義の代表のような遊び方に反発するかのように、バックカントリーという文化が徐々に定着してきました。
用具もより軽く回しやすく浮きやすく改良され、歩行時には疲れにくく、滑走時にはより快適になってきています。用具によるの行動力のアップと雪山に出かける動機付けアップが、更に人の目をバックカントリーに向けさせている要因でしょう。

それでも『パウダー』という、新雪の深雪のみに興味を持っている方たちが多くいて、その中にはリフトを利用してアプローチできる斜面のみを滑る『サイドカントリー』を好む方もいます。スキー場側もそれまで頑なにコース外滑走禁止を謳っていましたが、人々のスキー場離れも手伝ってそんな需要に応えようと林間を開放してきています。コース外滑走を許可していないとお客さんが来ない時代と言えるかもしれません。

利用できるものは利用したほうがいいですし、体力的や時間的な制約から少しでも解放されるなら、多少の出費は喜んで受け入れます。その上で、スキー・スノーボードという雪の上で絶大な移動能力を発揮する道具を、利用できるだけ利用するフィールドがバックカントリーなんだと思います。
現在もなお私たち日本人の間に自己責任という感覚が浸透したとはまだ思えないので、いたずらにパックカントリーを推奨するのは控えるべきだと思います。
それでも、雪のないグリーンシーズンでは考えられないような広い範囲を行動できるというのは、言葉に言い表せない喜びがあります。地図と天気図を読んで自分の足の力で旅をするというのが、すばらしいと感じてしまうのです。

整備と管理が行き届いている営業下のスキー場は、たとえ厳冬期でも何かあればすぐに安全対策をしくれますし、急に怪我や病気になってもすぐにパトロールがやってきて応急手当や搬送をしてもらえます。対価を払って責任を肩代わりしてもらうわけです。ですから、リフト券はそのコストの分割高なはずです。
ですが、一旦スキー場の管理されたコースから外れてしまえば、そこはもう厳しい自然そのままむき出しの、冬季の積雪山岳地帯です。そして、それまでスキー場の肩代わりしてもらっていた責任が一気に自分の肩にのしかかってきます。天候の変化も読まなければならないし、行程の時間と安全を確保するのも自分、用具の具合を管理するもの自分の健康状態を管理するのも全部自分です。
そういった諸々をすべて自分でコントロールできるって、スゴイことだと思いませんか?